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BIMとは?導入のメリットやCAD、CIMとの違いをわかりやすく解説!

2022年7月4日

建設業界では、AutoCADやVectorworksといった2D CADや3D CADを使って図面が作図されていますが、ここ数年は上記の概念とは異なる設計ソフト「BIM」が普及してきました。
BIMは、従来の2D CADや3D CADよりも設計効率をかなり高めるソフトで、今後の建築設計において重要なスキルになると言っても過言ではありません。
そこで当記事では、BIMの特徴や導入するメリットを解説します。また、CADやCIMと比較した魅力も合わせて紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

 


 

BIMとは?

BIM(Building Information Modelling)とは、コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築するシステムです。「Building 」という言葉が示す通り、建築物を設計するためのソフトです。
しかしこのソフトは、従来の3D作図ソフトとは作図の概念が異なります。従来の設計作業では2D図面を書き起こしてから3Dでパースやモデリングを書き起こす流れでしたが、BIMは作図とモデリングが一度に書き起こせるため、3Dモデルの作図だけで様々な設計図面が完成します。従来の2D CADの場合は平面・立面・仕上げなどを1枚ずつ作図する必要があり、修正の際も手間がかかっていましたが、BIMであればメインの図面データを修正するとその内容が各図面に反映されますので、修正が発生しても整合性がとれた正確な図面が作成可能です。
また、3Dモデルの図面は2Dの図面よりも建物の構造が把握しやすくなるので、施工検討がスムーズになります。設計者と施工者の連携が取りやすく、業務全体の効率化が期待できるでしょう。現在では、建築設計事務所やゼネコンでBIMの導入が増えてきています。

 

BIM導入のメリット

BIMは、AutoCADやVectorworksといった2D CADや3D CADとは概念が異なる設計ツールです。そこで以下では、BIMを導入するメリットをお話しします。

建物のイメージを関係者と共有しやすい

一つ目は「建物のイメージを関係者と共有しやすい」ことです。BIMは3Dのモデリングをしているため、建物を色々な角度から効率的に分析することができ、設計者と施工者間でイメージを共有しやすいメリットがあります。通常の図面では分かりにくかった部分も、BIMを使うことでより情報が伝えやすくなります。関係者との意思疎通が取りやすくなり、打ち合わせも効率的に進めることができるでしょう。

 

初期段階からシミュレーションできる

二つ目は「初期段階からシミュレーションできる」ことです。設計作業では、2D図面を書き起こしてから3Dでパースやモデリングを書き起こしていましたが、BIMは作図とモデリングが一度に行えます。そのため、3Dモデルでの検討が初期で行えるため、シミュレーションがスムーズに行えます。設計初期段階にシミュレーションを行うと、事前に建築物の課題を把握することが可能であるため、修正対応や再検討が早々にでき、プランニング期間の短縮も期待できます。

 

施主への説明に使える

三つ目は「施主への説明に使える」ことです。BIMで簡易的に3次元モデルを作ることで周囲との景観の確認にも使えるため、従来の2D図面よりも建物の全体像が把握しやすい特徴があります。図面の知識がない方が見ても問題箇所の共有がしやすいので、打ち合わせがスムーズになるでしょう。施主・住民に対するプレゼンテーションにも役立ちます。

 

修正・管理コストの削減ができる

四つ目は「修正・管理コストの削減ができる」ことです。2D CADで設計を進めると、変更の際に各図面で整合性が取れなくなることが多々あります。例えば「立面図で仕上げを変更したのにも関わらず、その変更が仕上げ表では行われていない」ということが考えられます。そうした修正ミスを削減するためにも、BIMを使った図面作成はオススメです。
具体的にはメインのデータを修正すれば各図面に反映される仕組みなので、整合性の取れた図面が作成できます。

 

BIMと3DCADの違い

BIMは建物を3次元にモデリングするソフトですが、作図の手順が従来の3D CADとは異なります。従来の3D CADは、まず2Dの図面を作成し、その後で3Dの形状を組み立ててCGなどでシミュレーションするという流れで作成します。そのため、3Dのモデリングをする際はまず2Dの図面を完成させる必要があります。
また、図面の用途もパースやイメージ図として使われることが多く、設計図面の補助的な役割も多々あります。

しかし、BIMの場合はまず初めに3Dの図面を作成し、必要に応じて2Dに切り取るという流れで作図します。
また、従来であれば2Dと3Dの両方の図面を修正する必要がありましたが、BIMはメインのデータを修正すると自動で他の図面も修正されるので、図面修正者の手間を減らし、効率的な設計作業が行えるでしょう。

 

BIMとCIMの違い

CIM(Construction Information Modeling)とは、建設業務における効率化を目的とした取り組みです。BIMと近いイメージを持つ方も多いかもしれませんが、BIMとCIMは「対象とする場」が異なります。
BIMは主にビルや建築物などの規格がある設計で活用されますが、CIMは橋やダムなどの土木構造物で活用されています。ビルなどの建築物のように、決められたパーツを組み合わせて作図する際はBIMですが、不測の事態が起きやすい現場に特化したものがCIMです。それぞれソフトの特徴が異なるので、建築分野の設計者はBIMを使うと良いでしょう。

 

BIMのおすすめソフト

無料で使用できるBIMソフトはなく、長期的に利用する場合はライセンスの取得が必要になります。中には体験版や学生版などを提供しているソフトもあるので探してみてください。以下では、BIMのおすすめソフトを紹介します。

Autodesk「Revit」

「Revit」は、AutoCADで知られるAutodesk社の開発するBIMソフトです。建築設計・構造エンジニアリング・機械・電気・配管・建築施工と幅広く対応しています。
また、クラウド機能がついているので、データを共有しながらチームで作業できます。

 

GRAPHISOFT「ARCHICAD」

「ARCHICAD」は、ハンガリーのGRAPHISOFT社が提供するBIMソフトです。特徴はレイヤーの概念を残した設計ソフトであり、AutoCADなどの一般的な2D・3DCADソフトと近い感覚で作業が行えるところです。

 

福井コンピュータアーキテクト「GLOOBE」

「GLOOBE」は、日本の福井コンピュータアーキテクト株式会社が提供するBIMソフトです。日本の設計手法や建築基準法に対応しており、日本仕様の建材データや自由度の高いデザイン機能が搭載されています。国内におけるBIM設計に最適なソフトで、さらに円滑な設計業務が可能になるでしょう。

 

日本でBIMが普及していない理由

海外では比較的主流になっているBIMですが、日本の普及率はあまり高くはありません。その理由として、以下の2点が考えられます。

BIMを使いこなせる人がいない

BIMは従来の作図ソフトと設計概念が異なるため、操作や作図手順を覚える必要があります。残念ながらBIMを使いこなせる設計者の割合は少なく、BIMを導入しても業務で使えるようになるまで時間がかかるという問題があります。
とはいうものの、企業によってはBIMの使い方を教育しているところも増えてきており、徐々に普及していくことが予想されます。

 

ソフトが高い

BIMはあらゆる機能が搭載されているソフトであり、従来の作図ソフトよりも高額です。操作も従来の作図ソフトと異なるため、自社の設計者を育てるとなると講習の費用などもかかるでしょう。ある程度の予算を確保して導入する必要があるため、ややハードルが高いという現状があります。

 

BIMに関してよくある質問

最後に、BIMに関するよくある質問について挙げ、それぞれ解説していきます。

BIMにフリーソフトはある?

長期で使用できる無料ソフトはないため、その場合はライセンスの取得が必要になります。とはいうものの「体験版」や「学生版」などを提供している企業もあるので、ぜひ探してみてください。

 

BIMオペレーターになるには資格が必要?

BIMオペレーターはいくつか資格がありますが、資格がないと就職できない職業ではありません。ただし、BIMオペレーターの求人の多くでは、CADオペレーターとしての実務経験が必須条件となることが多く、建築図面の作成経験など業界での経験も求められる企業が多くあります。
BIMオペレーターへ転職を希望する場合は、自身のスキルを踏まえた上で転職エージェントに相談してみましょう。

 

まとめ

BIMで作図ができるようになると、作図時間の短縮や図面精度の向上が期待できます。さらに、関係者とのコミュニケーションが取りやすくなるため、今まで以上に仕事の効率アップも期待できるでしょう。
また、今後はBIMのデータで建築確認申請が可能になるとも言われており、建設業界では主流の作図ソフトとなるかもしれません。建築設計者としてスキルアップしたいと考えている方は、ぜひ勉強することをオススメします。

 

 


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